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進むべき道。

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年明けに実家に帰省した。妹家族もいて必然的に今高校3年生の姪の進路の話しになった。もう3月には卒業なのにまだ進路が決まっていないらしい。何か迷っているのかと思いきや姪はアイドルになりたくてその道に進みたいのだけど、親である妹夫婦がそれに反対しているのである。「アイドルになりたい」って小学生の言うことならなんとなく話し半分に聞き流すところだろうが、高3ともなると別だ。かなり真剣なのである。自主的にオーディションを受けたり、韓国語の勉強をしたり(K-popのアイドルになりたいから)、カラオケでひとり歌の練習をしたり、姪なりに努力しているようなのである。それに対して妹夫婦は、夢はわかった、でもその夢を追いかける前にとりあえず韓国が好きなら韓国語の通訳を目指したりするのがいいのではないかと、まぁある意味現実路線の提案をしているのだけど、姪としてはどうも納得いかなくてお互いの意見が平行線というわけだ。

その状況を知って私は自分の過去の失敗から思わず夢があるならそれを追いかけた方がいいと言った。私は若い時、夢というより自分ができること、つぶしがきくことを探してしまった、その結果自分の道を見つけるのにものすごく遠回りしたし、しなくてもいいような苦労もたくさんしたことをこの上なく後悔している、と。今すぐ叶わなくても夢はあきらめないで目指したほうがいい、小さなことでも積み重ねて、音楽で生きていくことが現実的でないだなんて絶対にわたしは言わない、好きなことなら大変でも頑張れるでしょ、と大きな顔で言ってしまった。

まったく余計なことをいうおばさんである。人の子どもだからね、言いたい放題いえるのです。
でもいったことは本心だし、後から考えて姪に感心した。私、高3で「やりたい、こうなりたい」っていう具体的なはっきりとした夢なんて持ってたっけ?アイドルですよ、アイドル。正直シンガーソングライターとか歌手よりハードルは高い、ように思うけどそれが夢なら目指すしかないと思う。人生は一度きり、思う存分生きてほしい。

さて、姪をたきつけた伯母のわたしはどうしよう、自分自身に問いかける、あんたは何がしたいの?

# by zizo_cafe | 2020-01-06 00:37 | 生活

輝く夜に。

輝く夜に。_b0197998_01194555.jpg

メディアテークの灯が消えていると、窓にページェントの光が映ることにいまさらながら気がついた。

毎年習慣のようにこの光を見に来ているけど、そのたびに「来年は違う自分でこの風景を見れたらいいな」とか、「来年はどこか違う町に引っ越しをしているから見にこれるのはこれが最後になるかもな」とかまるで根拠のない未来の
自分の変化をいつもどこかで期待している。そんな愚かな期待を心に秘めるのは、何も冬のページェントの時だけじゃない。夏の花火大会の時もそう。夜空に打ち上げられる色鮮やかな火薬の燃焼を見上げながら、もうとっくにこの街を出て違う人生を歩んでいる、かつて一緒に花火をみた友人たちのことを思い出しては、過去も未来もさして変わらない自分を呪うのだ。

人生は期待どおりになんて絶対にいかないし、むしろ期待も望んでもいない方向へ向かうことの方が圧倒的に多い。自分になんてなんの価値もなく、こんな人生いつでも終わってしまっていいと毎日思っている。けど、もし本当にそうなったらもしかしたら悲しんでくれる人がいるかもしれない、そういう人のためにももう少し自信を持ってきちんと生きなければとも思う。

人間の気持ちなんてアンビバレント。自分に価値を見いだせないくせに自暴自棄にもなかなかなれない。私の期待や呪いに答えはなく、求めてもいない。毎年2回、冬と夏、ページェントと花火大会、空に輝く美しい人工の加工物を見上げては湧き上がる感情をもてあそぶ。

# by zizo_cafe | 2019-12-30 02:20 | 生活

東京アート散歩その2。東京都現代美術館、ミナ ペルホネン/皆川明「つづく」。先に見たカミーユ・アンロの作品展が混沌や闇(と勝手に思っている)であるなら、こちらは光。まばゆいばかりの光、そして日だまりのような温かさ。設立当初から現在、未来へとつづくミナの世界を存分に味わえる。ファンだけでなく、ものづくりを生業にしている者にも心に響く展示会ではないだろうか。機械を使ってはいるがもはや手仕事と言っていいような刺繍、テキスタイルのための細かなデッサンなど、ものづくりの本質って本当はこうだよね、と感嘆しながら会場を歩く。「風」を見てわたしもミナを着ながら仕込みをするぐらいにならなくちゃだめじゃない?とか思ったり、「土」では愛用者の思い出一つひとつに胸をえぐられ目頭を熱くしたり。
そんな展示を見て思ったのは、制作者って結局は黒子なんじゃないかということ。例えば服ならデザイナーではなく、着る人が主役なんだということ。じゃあパンは?作る私じゃなくて食べる人がやっぱり主役かな。私は果たして食べる人を主役にできるパンを作れているだろうか。
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会場入り口。ずらりと並ぶミナのテキスタイルたち。

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「森」
洋服の森。設立当初から2020年春夏コレクションまでの約25年分の服、400着以上を集め展示している。

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「森」
どれか一つは好みの服があるはず。

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「種」
アイデアと試み。これはミナのためにつくられたモチーフたち。
こんな小さなパーツもゼロから作っていることに驚きと羨望がうずまく。

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「種」
これまでのインビテーションカード。こんな素敵な招待状をもらったら一生取っておくと思う。

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「種」
いろんなアイデアが楽し気にかわいく展示されていました

すべての展示を見終えると、何かひとつはミナのものが欲しくなると思います。特に今回の図録、どうやら表紙がミナのテキスタイル・デザインらしく、しかもいろんな柄があったようなんです。でも閉館ギリギリに滑り込んだため(というかここの閉館が6時までなんて知らなかった。早すぎ)6時5分前には売り場を閉められてしまったためよく見ることもできず、追い立てられるように会場を出ました。その冷酷ぶりは昔行ったポンピドゥーセンターの係員を思い起こさせましたが、まぁしかたない。

そんなわけでどっぷりミナの世界に浸りたい方は時間に余裕をもっておでかけください。最寄り駅は清澄白河ですよ




# by zizo_cafe | 2019-12-11 00:57 | アート探訪

東京アート散歩。東京オペラシティアートギャラリー、カミーユ・アンロ「蛇を踏む」。うーん、うーん、何て言ったらいいのか。わたしには難解でした。乱暴に言えば「わたし作品展」って感じがしちゃった。最初の〈革命家でありながら花を愛するのは可能か〉は正直いけばな作品展にしか見えないし、〈アイデンティティ・クライシス〉は好きな色調だったけど心にストンとくるものがなく、《青い孤》は作者の頭の中を表してるのか、時代の空気感を表しているのか、複合的な意味合いを持たせているのか、それとも意味はないのか。規則性があるようなないような、どうとでもとれそうな表現の仕方がある種のいまどき感なのかなと思いつつ、最後の映像作品《偉大なる疲労》は見ていて心地よいものでは決してなく、この作品に光はあるのか、それとも嫌な感情にさせるのが狙いなのか、などといろいろ考えながらギャラリーを後にした。それとも鑑賞者を混乱させるのが狙い?そういう意味では私はまんまと罠にかかったと言えるだろう。

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<革命家でありながら花を愛することは可能か>
小説から発想を得た作品群。この作品は平野啓一郎の小説より。
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<革命家でありながら、花を愛することは可能か>
ピエル・パオロ・パソリーニの「グラムシの遺骸」から。
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<アイデンティティ・クライシス>

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<アイデンティティ・クライシス>

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《青い孤》
その名の通り青い部屋に雑誌や絵画、小物などがある部分ではぐしゃっと、ある部分ではきちんと並んでいる。蛇のぬいぐるみも点在してた。

今思えば、全作品とおして「蛇」はどこかに必ず出てきていたような。「蛇を踏む」というタイトルはカミーユ・アンロ自身かなり気に入っているんじゃないかと勝手に思いはじめている。もともとは川上弘美の小説のタイトルだけど。

会場で気づいたのは、意外と年配のお客様が多かったこと。友人によるとNHKの「日曜美術館」で紹介されたらしい。その影響かな。

ちなみに会場である東京オペラシティアートギャラリーの収蔵品展のひとつリー・ウーファンの「版との対話」はとてもよかった。デザインとはなんぞやということを教えられる。


# by zizo_cafe | 2019-12-07 22:29 | アート探訪

この夏、塩竈にあるギャラリーのオーナーさんのSNSでたまたま知って見に行った展示会で、彼の作品にほぼ一目惚れ。軽さと多色の色使いが「今」の空気感をまとっていると感じる。まだ現役の大学生、これからの人。投資ということではなく、純粋に好きな作品なの。

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こういう軽い作品、私には絶対に作れないなと思う。どこか心にいい意味でのすき間がないとこんなに色で遊べないし、こんな美人描けない。何度見てもいい、ふわっと風が吹き抜ける気がする。

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今後の彼がとても楽しみ。すくすくと育ってほしい。って息子ですか?(写真に写っている方は一般のお客様です。本文に関係はありませんよー)


# by zizo_cafe | 2019-10-07 00:30 | アート探訪